矯正には痛みがつきもの?
「歯並びを良くしたいけど、矯正は痛いって聞いたからあまりやりたくない」
このようにお考えの方もいるでしょう。矯正治療に期間は数ヶ月~数年と長いので、その間痛みが続くのかと思うと不安になると思います。
しかし、一人ひとり痛みを感じる程度は異なりますから、矯正治療も全員が痛いわけではないのです。痛みを感じる方がいらっしゃれば、中には痛みをあまり感じない方もいらっしゃいます。痛みがあった方でも、痛いと感じた状況や痛みの原因、痛みが出やすいときを探れば、気持ちが楽になる場合もあります。
例えば矯正治療の場合、痛みの原因のほとんどは歯の移動によるものです。つまり、歯が正しい位置へ動くことに伴って痛みが出るのであり、治療がちゃんと進んでいると言えるでしょう。このように痛みの原因の理由を知って、痛みが気にならなくなったという患者様もいらっしゃいます。
矯正治療で痛みを感じるのは大きく3つ
1. 矯正装置が当たることによる痛み
ブラケットやワイヤーを使用する矯正治療の場合、口腔内に矯正装置が当たって痛くなることがあります。歯に直接装置を取り付けますから、この部品が粘膜や舌に当たると口内炎になってしまいます。口内炎は3~4日程度痛みを感じますが、徐々に落ち着いて1週間程度で自然治癒する方がほとんどです。
楽器を演奏する機会がある方は、矯正装置が口唇に触れて痛みを感じる場合があります。また運動中に顔に衝撃が加わると、その反動で口腔内が装置に当たり傷付く恐れがあるのでお気を付けください。
矯正治療中は、歯の移動が起きますのでワイヤーが緩んで外れる、またワイヤーの調整で装置が外れることも考えられます。このような状況になりましたら、お早めに来院して頂く必要があります。放置するとワイヤーで口腔内が傷付いてしまうかもしれません。
2. 歯の移動に伴う痛み
矯正装置で歯を少しずつ動かすのが歯列矯正です。顎の骨に支えられている歯は、指で押しただけでは動きません。歯を移動させるために、矯正装置の力を使って歯に圧力をかけます。圧力が骨にも伝わって歯が押されますが、元通りになろうと歯を取り囲む歯根膜が働きかけます。このとき、圧力がかかった骨の一部が溶けて、圧力がかかっていない方に骨ができます。この仕組みを使い、矯正治療で歯を移動させることが可能なのです。ワイヤーの調整を行った後は歯が移動しやすく、時間が経つと痛みも生じてきます。これは、骨が溶け始めるに伴って痛みを産み出す物質が出るためです。
痛みが出始めるのは、装置装着後の3~6時間くらいです。2日目くらいから痛みが強くなり、1週間程で痛みは気にならなくなります。
このように、ワイヤーを使用する矯正治療では痛みが付きものです。患者様により痛みの感じ方は異なりますが、我慢できないくらい痛いときは歯科医師に相談してください。ワイヤーのきつさを調整する場合があります。
3. ワイヤーを締めた後に物を噛むときに感じる痛み
食べ物を噛むと痛むのは、ワイヤーのきつさを調整した後に、歯が移動しようとするため起こる症状です。硬い物を噛む際は、痛みが強く出る可能性があります。ワイヤーの調整後、痛みが治まるまでの間(1週間程度)は、柔らかい物を食べるようにしましょう。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正どっちが痛いの?
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正よりも歯にかける負担が弱いため、痛みが感じにくい場合が多いです。しかし、痛みの感じ具合は人それぞれなので、ワイヤー矯正よりマウスピース矯正の方が痛くないとは言い切れません。
またワイヤー矯正の場合、装置により口腔内が傷付いてしまう可能性がありますが、マウスピース矯正はその恐れもほとんどありません。さらに、マウスピースは取り外しも可能ですので、痛みが気になる際はご自分で対処頂けます。
マウスピース矯正は痛みが少ない治療ですが、それ以外にもメリット・デメリットはあります。しっかり納得してから治療法を選択してください。
矯正の痛みのピークは?いつまで痛い?
痛みの始まりは装置装着後3~6時間後くらいです。装着した次の日あたりが最も痛くなる場合が多く、ピークを過ぎると少しずつ痛みは減少していきます。1週間程度経つとほぼ痛みは消失する方がほとんどです。人により痛みの感じ具合は異なりますが、矯正治療の装置を装着した方の多くは、この痛みを経験します。インビザラインがワイヤー矯正より痛みを感じにくいのは、圧力を全ての歯にかけて徐々に歯を移動させるためです。
痛みがあるときには食べられない?おすすめの食べ物
矯正中は歯に圧力をかけているため、物を噛むと痛く感じるものです。しかし、噛むと痛いからとお食事の量を減らすのはお控えください。
そこで、噛んでも痛みが出にくく工夫された食べ物をご紹介します。痛みが気になる方は、このような工夫をしてみてください。
柔らかい食べ物を食べる
次のような柔らかい食べ物であれば、噛むのに力が要りません。噛み応えのあるものより柔らかい食べ物を食べれば、噛むと痛みを感じることも減るでしょう。
- 魚や野菜を柔らかく煮たもの
- 柔らかい質感のパン
- マッシュポテト
- ハンバーグやミートボールなどのひき肉料理
- オムレツや卵焼きなどの卵料理
繊維が少ない食べ物を食べる
矯正器具に挟まりやすい繊維質の食べ物はあまりおすすめできません。
繊維が多い食べ物は、鶏肉やマグロのお刺身などがあります。鶏肉は鶏ひき肉で代用したり、マグロのお刺身はマグロのたたきにしたりすれば問題ありません。また、繊維の少ないホタテやサーモンに変えるのも良いでしょう。
食べやすい形にする
硬い食べ物を食べる際は、あまり噛まないような工夫をしましょう。噛む回数を減らすため、小さく切ったりすり下ろしたりするのがおすすめです。
野菜は小さく切るかミキサーで砕いて野菜ジュースやスープに、りんごや大根はすり下ろして食べるようにすれば噛む痛みは減少します。この方法により栄養が偏る心配もなくなるでしょう。
水分量が多いものを選ぶ
栄養分が同じであれば、噛みやすいように水分量が多いものを選びましょう。お肉を食べたいのなら、同じたんぱく質の豆腐や豆乳を選択すれば痛みが出ることも少ないです。
我慢できないほど痛む場合は、煮込みうどんやおかゆなどがおすすめです。
口内炎を防止する栄養素を摂る
矯正中は口腔内が荒れやすいので、荒れを防止するための食べ物を摂取しましょう。おすすめなのが、口腔内の粘膜を守ってくれるビタミンB2やB6です。口内炎の回復を早め、予防する効果が見込めます。
ビタミンB2が多く含まれるのは、ワカメ、レバー、卵、マッシュルーム、海苔です。
ビタミンB6が多く含まれるのは、まぐろ、ニンニク、ジャガイモ、鮭、バナナです。
料理の例として、切り刻んだワカメの味噌汁、卵料理、バナナジュース、まぐろのたたき、鮭雑炊などが挙げられます。調理を工夫して効率良く栄養を摂取しましょう。